とある商社マンの日常

商社マン6年生のtitorが会社員生活を綴る

部長

あらすじ

主任、康二の熱き指導による社会人の洗礼を受けた倫太郎。

社会人(仮)には馴染みがない環境下、更なる洗礼を受けることになる。

 

2012.8.30 部長

俺は今猛烈に落ち込んでいる。

というより生まれた子鹿のように震えている。

 

なぜか?

 

・・・1時間前。

 

いつものように今日も電話番長。

大分電話に慣れ、たまに変な日本語が口から解き放たれる以外、特に問題はない。

もう電話の鳴り始めるタイミングも、それが社内か社外か、瞬時に見極められる。

奴ら(事務員)は姑息にもチートをしていた。

そもそも皆が人間の反射速度を遥かに超えて電話をとるなんてありえない。

答えは簡単、電話が鳴る前にランプが先に光るのだ。

(スポーツでいうドーピング!地下労働施設の班長的に言えば、

ノーカンノーカン(・Д・)q といったところだ)

 

昨日の帰り、たまたま帰りが一緒になったみーちゃんが白状した。

「岡部くん、電話のランプ見てる?」

「ランプ?」

「あれ、鳴る前に光るんだよ(・ω・)ノ」

(なっ、なんだと⁈)

「そうなんですか⁈皆さん早いからおかしいと思ったんですよ!」

「あれ、言わなかったっけ?ごめんごめん(笑)」(性悪女め(・Д・)m)

ニヤニヤしているみーちゃんに対して殺意を押し殺しながら続ける。

「言ってくださいよー!みんなオリンピック選手並みに早いんですもん!おかしいと思ったんですよ!」

微笑みながら歩く、年上天然系女子みーちゃんを見ながら思った。(惚れてまうやろ)

 

年上+天然+癒し系+ふんわりトーン+男並みの雑さ=はい、好き(╹◡╹)♡

(皆さん、これが男だ。)

 

まぁとにかく、同じ位置に立てば、まぁ人並みに電話に出れるわけだ。

この日の電話俺が独占している。この2日間にはなかった安定感だ。

 

 

が、

 

 

プルプル

「はいアキバ商事です。」

「hello?」

「ハロー?」

以下、倫太郎翻訳。

「こんにちは、部長さんいる?」

「あーごめん、席外してるみたい…どうする?」

「じゃあとで折り返しくれって伝えといて!」

「おけ!お任せを!」

「よろしく、よい一日を!」

「おう!オメェもな!」

 

ガチャン。

 

 

 

おっ(・Д・)??

 

 

 

やり切った感があって、勢いで切ったが………其方は…誰じゃ(°▽°) ?

タイミングを見計らったように部長様ご帰還。

 

それから約3分間。

 

今のは無かったことにするか、電話の主の名前を変えて伝えるか、主任の名刺の名前をとりあえず適当に伝えるか、悩みに悩み正直に報告に行った。

(まだバイトだ。それほど怒られることもあるまい。)

 

 

が、

 

 

「あの…すいません…先ほど海外から電話がありまして…部長宛てだったのですが、お席におられませんでいらっしゃったので、折り返してほしいと言われました。」(動揺…)

「誰から?」

「すいません、聞かずにお電話を切ってしまいまして…」

(部長様ならわかるのでは…)

「あっそう。分かりました。」(えっ、それだけ?)

「あの…どうしたらよろしいでしょうか?」

「どうしようもないよね?」

「でも…どうにかできないですか?」

「だから、どうしようもないよね!電話をとったら何が何でも名前を聞いてメモしろ!聞き取れないなら、スペルを聞いてでも聞き取れ!俺が新入社員のときはそれくらいやったで!それくらいできるやろ!」

優しそうな人相だったからかギャップに驚きを隠せない…声もデカい…

そして怒った顔は別人。

「はい…申し訳ございませんでした…次から気をつけます。」(ショボーン(´・_・`))

 

…確かにちょっと天狗になっていた。油断もしていた。

(仕事は慣れたことが危ないとはまさにこのことだ。)

まさか、電話の件で公開処刑とは…

 

席に戻る時、何人かはさっきの電話に主に心当たりがあったようだが、誰もそれは言ってくれない。(”おそらく”なんて中途半端なことが言えないからなのか、シーンとしたこの雰囲気では言えないのか、他に理由があるのか…)

席に戻ってからも周りからは可哀想なボクちゃんを見るような目で見られていたが、

特に励ましてくれる人もいなかった。

(実際に見られていたわけではないが、そんな気がした。)

 

とりあえず、昨日の主任の名刺整理を再開することにした。

電話以外のことをやって気を紛らわしたかった。

作業しながら、さっきの部長の言葉が一曲リピートのように頭に流れる。

全然作業に集中できない。こんなに打たれ弱かったのかと動揺を隠せない。

そして電話が鳴ったが・・・出れなかった。手が震えていた。

 

その日結局一度も電話に出れず、名刺の整理もそれほど進まず。

1日が終わった。

 

帰り道。まだリフレインする部長の言葉をノートのメモして、メンタルが回復したら再トライしようとちょっとだけ思って電車ですべてを忘れるように寝た。